2011年3月24日「気仙沼キングスガーデン救援ミッション」

今日は、状況確認と物資運搬を兼ねて、気仙沼キングスガーデンに向かいました。この施設は、キリスト教主義に基づく老人福祉施設を見学しようという主旨で、昨年教会行事として訪問したばかりでした。ここは地震発生当日、大火災が起こった地域でした。そしてキングスガーデンについての情報としてあったのは、施設長の森正義先生は生きているが、津波が押し寄せて来る前にテレビに出ていた、ということだけでした。不安な思いで出かけました。気仙沼は仙台から140kmも離れており、日本でも有数の水上高を誇る漁港として知られています。
約三時間の道のりを経て、いざ気仙沼に近づくと、意外な印象を受けました。JR気仙沼駅は無傷に見え、その先には銀行が普通に営業しているではありませんか。中心部は壊滅と思っていましたので、これは意外でした。そして、特養ホームの「キングスタウン」に着きました。ここも、見たところ何の被害もなさそうでした。
施設長の森先生はご健在で、玄関で佇んでおられました。早速様子を聞いた所、「地震発生当時は出かけていたが、避難して助かった。 津波はこの施設から西側に200mのところまで来たが、そこで留まった。ここではマンホールから水が溢れた程度であった。ただ、港の方に行くとすごいことになっている。ケアハウスの南三陸キングスガーデンも高台なので無事であったが、デイサービスセンターについては流された。職員の中にも家が流された人がいる。施設の車も流され、当初はガソリンも無かったので移動できず大変であったが、ある会社役員の方がタンクローリー一台分のガソリンを提供して下さったので助けられた。」とのことでした。
お持ちした物資を全て降ろした所、森先生が近くを同行してご案内下さることになり一行で向かいました。車で10分程度走った場所は、海からすぐ近くの低地地帯でした。南気仙沼駅近くの場所でしたが、文字通り跡形もありませんでした。そこには、気仙沼第一聖書バプテスト教会がありましたが、森先生も「私にもこのあたり、としか言えないのです」ということでした。主の教会が土台だけしか残されていないとは、本当に心痛む風景でした。周囲も、ホームセンター、レストラン、ケーブルテレビの施設、生コン製造所、水産加工場・・ すべてが変わり果てていました。
そうして到着したケアハウスは、比較的高台にあったため津波は免れていました。丁度、電気が戻ったばかりでしたが、水道とガスはまだでした。そこには、仙台教会の開拓教会である古川教会に属しているSさんが、ご夫妻で入居しておられました。入浴ができず大変そうでしたが、体調は問題ない様子で安心しました。Sさんの息子さんご夫妻は、ガソリン不足のため未だに訪問できていないとのことで、ビデオメッセージをお届けすることにしました。そうこうしているうちに帰りが遅くなり、夜になりました。気温も下がり、雪がちらついてきました。ノーマルタイヤのマイクロバスで峠を超えることには不安もありましたが、守られて無事に帰仙できました。
今日行ってみての感想は、やはり、「実際に足を運んでみないと状況は分からない」ということでした。事前に想像していたのは、壊れた家屋の中でかろうじて立っている特養ホーム、というものでしたが、実際には、車の流れももどって平静を取り戻しつつある姿でした。しかし、港の方は途方も無い状況のまま取り残されている。そういうアンバランスさが危うい形で同居している 。それが気仙沼でした。

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