牧師コラム 『ヤコブの計画』 2021年2月7日

牧師 高橋勝義

ヤコブは14年間伯父ラバンに仕え、この間に男子11人と女子1人が与えられました。そして「私を去らせて、故郷の地へ帰らせてください(創世記30:25)」と、ラバンに訴えます。神がヤコブを祝福し、それゆえ自分の財産が増えていることを知っているラバンはヤコブを引き留めるために報酬を尋ねます。そこでヤコブは、「ぶち毛と斑毛の羊とやぎをすべて、子羊の中では黒毛のものをすべて、それらを私の報酬にしてください(創世記30:32)」と願います。本来やぎは濃い茶色か黒、羊は白が一般的ですから、ヤコブの要求は少数です。

要求に合意はしたものの疑い深いラバンは、ヤコブに与える斑毛の羊とやぎ、黒毛の子羊のすべてを自分で取り分け、自分の息子たちに手渡し、自分の群れとヤコブの群れとの間に三日分の距離をおいたのです。ヤコブはラバンの残りの群れを飼いましたが、彼は弱い羊とやぎはラバンのものに、強いものは自分のものになるように工夫し、その結果「このようにして、この人は大いに富み、多くの群れと、男女の奴隷、それにらくだとろばを持つようになった(創世記30:43)」のです。しかし、無一文で転がり込んできたヤコブが多くの財産を持つようになり、ラバンやその息子たちは、ヤコブに不信感を抱くようになったのです。

私たちの立てる計画には、必ず様々な思惑が入っています。しかし、その思惑が外れ、事が思わぬ方向に進み、窮地を招くと、私たちは狼狽してしまいます。

神は、このような窮地の時こそ「立ち返って落ち着いていれば、あなたがたは救われ、静かにして信頼すれば、あなたがたは力を得る(イザヤ30:15)」と私たちに語っておられます。真の助けは、まことの神から必ずくるからです。