栗原 延元 牧師 |
マルコの福音書の学びは、いよいよクライマックスに入ります。
この書物の主人公のイエスが捕えられる場面にさしかかるからです。
福音書とは、「喜ばしい音信(おとずれ)」が書かれている書物という事です。
その音信は誰が発信しているかというと、それはイエス・キリストなのです。
その当の本人が、捕えられる次第が、今日の箇所に詳しく書かれているのです。
福音書というからには、知られたくない事柄です。
イエスは、12弟子のひとり、イスカリオテ・ユダの裏切りによって、真夜中、
ゲッセマネの園の中で捕えられます。
ユダは、イエスに近寄り、口づけして、捕縛に来た群集に、この人物こそ、
イエスだと知らせます。口づけは、相手への親しさと愛を現わします。
しかし、この時のユダの口づけは、イエスを売り渡す行為でした。
他のイエスの弟子たちは、どうしたかというと、みなイエスを見捨てて
逃げてしまったのです。この福音書に描かれるイエスの弟子たちはみな弱く、
腰くだけで、弟子とは言えない情けない人物たちです。
このような人々が強くなり、愛の使徒たちに変えられるのです。
ここに福音の力が込められているのです。