牧師 高橋勝義 |
世界が直面する気候変動はこの地でも深刻です。毎年八月中旬には海水温が下がり、牡蠣は放卵し、ぷっくり美味しくなるのだそうですが、今年はそれが遅れ、収穫解禁は例年より一ヶ月遅い明日からです。
そんな中、教会ではお茶っこ会で映画「海嶺」の上映会をおこないました。原作は幕末時代のモリソン号事件をもとに三浦綾子さんが執筆された小説です。
米を満載して江戸に向かった千石船が嵐により漂流、岩吉、音吉、久吉の三人だけがアメリカに漂着し、港湾会社のクリスチャンによって救出されます。やっと帰国の道が開かれ、彼らはマカオで待機する中、宣教師の聖書(ヨハネの福音書とヨハネ書簡)和訳に手をかします。みことばにふれる日々の中で、キリシタンになれば帰国後、お上に殺されることを恐れ、福音には固く心を閉ざしていました。いよいよ、彼らを乗せた米国船モリソン号は、浦賀港を目前にしますが、非情にも「異国船打払令」により砲撃され追い返されてしまうのです。 しかし、小説の最後には「そうか。お上(国)がわしらを見捨てても、決して見捨てぬ者(お方)がいるのや」と神への希望が記されています。
人生は何が起こるか分からない不安でいっぱいです。モーセの後継者ヨシュアも、自分がイスラエルの民を導けるのか、不安でした。しかし神は「わたしはあなたに命じたではないか。強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたが行くところどこででも、あなたの神、主があなたとともにおられるのだから。(ヨシュア1:9)」と約束されました。同様に私たちも決して見捨てないこの神の御手の中で生かされているのです。