牧師 高橋勝義 |
カナンにも深刻な飢饉は広がり、ヤコブは穀物を買いに息子たちをエジプトに行かせます。しかし、父はヨセフの弟ベニヤミンだけは同行させず手元に残しました。
エジプトにやって来た兄たちはこの地の権力者となったヨセフを伏し拝みます。それは兄たちにはヨセフだと分からなかったからです。一方のヨセフには兄たちだとすぐに分かりましたが、見知らぬ者のようにふるまい、荒々しいことばで「この国の隙をうかがいに来たのだろう」と拘留します。ヨセフは兄たちの今の心を知りたいと思い、「もし、おまえたちが正直者なら、一人を残して、穀物を持って行くがよい。そして末の弟を私のところに連れて来るなら、おまえたちのことばが本当だということが分かる。」と告げます。兄弟たちは、こんな苦しみに会うのはヨセフがあわれみを求めたとき、聞き入れなかったゆえだ。われわれは弟のことで罰を受けている、と互いに言います。彼らの会話を聞いたヨセフは、兄たちの心を知り泣きました。そしてシメオンを彼らの目の前で縛り、とどめ置き、彼らの袋には穀物を満たし、銀も戻し、父ヤコブのところに送り帰したのです。(創世記42:1~26)
「主はすべての心を探り、すべての思いの動機を読み取られるからである。もし、あなたが神を求めるなら、神はあなたにご自分を現される。もし、あなたが神を離れるなら、神はあなたをとこしえまでも退けられる。(Ⅰ歴代誌28:9)」
ヨセフの心に当時の苦しみがよみがえり、兄たちを懲らしめたいとの思いが湧いてきても不思議ではありません。そして彼らの心を知りたいと思ったのです。しかし、まことの神は私たちの心の奥にある闇、動機を見られるお方であり、ヨセフも神に心探られたのです。