牧師コラム 『神を恐れよ』 2021年2月28日

牧師 高橋勝義

伯父ラバンに仕えたヤコブの20年間は、言葉たくみにだまされ続けた日々でしたが、神がともにおられたので、彼は多くの財産を得ることができました。そして神の促しの中で、生まれ故郷に向かって逃げるように出発したのです。しかしラバンにしてみれば、これは許しがたい行為で、怒り心頭でした。ところが、神はラバンに「あなたは気をつけて、ヤコブと事の善悪を論じないようにしなさい」(創世記31:24)と夢で忠告されたのです。一発触発の危機はこうして避けられ、ラバンはヤコブと契約を結ぶことを提案します。ヤコブの信じている神によって自分の財産が増えたことを知っている彼は、この神を敵に回すのは賢明ではないと判断したからです。

お互いに石の柱を立て、この石塚を超えない約束を、ラバンは彼らの父祖の神に、ヤコブは父イサクの恐れる方にかけて誓いました。この後、ヤコブは神に感謝の礼拝をささげます。ラバンは孫と娘たちに口づけし、彼らを祝福してから、自分の家へ帰ったのです。

ヤコブはこれらの出来事から「決してあなたを捨てない(創世記28:15)」と語られた神の約束の真実、さらに神の愛と恵みに守られていることをより深く知ることとなったのです。アブラハムが神の約束を堅く信じ、神を恐れて歩む姿は、イサクに、そして、ヤコブへと確実に引き継がれていったのです。その証拠に、ラバンとの契約を結ぶ時、ヤコブは父イサクの恐れる方にかけて誓っています。

聖書は「神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである。神は、善であれ悪であれ、あらゆる隠れたことについて、すべてのわざをさばかれるからである。(伝道者の書12章13,14節)」と語っています。