牧師コラム 『すべてを知っておられる神』 2021年2月21日

牧師 高橋勝義

ヤコブは二人の妻や子ども達、そして全財産を持って生まれ故郷へ出発します。しかしそれは義父ラバンには内緒の行動でした。三日目にヤコブが逃げたと知らされたラバンは、身内の者たちを率いて七日の道のりを追い、ギルアデの山地でヤコブに追いきます。

その夜、神は夢でアラム人ラバンに現れ「あなたは気をつけて、ヤコブと事の善悪を論じないようにしなさい (創世記31:24) 」と忠告したのです。翌日、ヤコブを前にしたラバンは、なぜ自分を欺いて逃げたのかと、ヤコブを責めますが、彼に危害を加えることはしませんでした。それは前夜、ヤコブの神が自分に現れ、警告されたからです。

そこでヤコブは、これまでの自分に対するラバンの理不尽な行為を非難しますが、「もし、私の父祖の神、アブラハムの神、イサクの恐れる方が私についておられなかったなら、あなたはきっと何も持たせずに私を去らせたことでしょう。神は私の苦しみとこの手の労苦を顧みられ、昨夜さばきをなさったのです。(創世記31:42)」と語ったのです。神は「わたしは、あなたに約束したことを成し遂げるまで、決してあなたを捨てない(創世記28:15)」とヤコブに約束された通り、ヤコブを神が守られたのです。

これは同時に、本当に人をさばくことができるお方は、聖書が語る“神”以外にはおられないことを示しています。それは「神の御前にあらわでない被造物はありません。神の目にはすべてが裸であり、さらけ出されています。この神に対して、私たちは申し開きをするのです。(ヘブル4:13)」とあるからです。
人の目を気にし、人を恐れるのではなく、すべてを知っておられる神を畏れ、どんな時も自分は神の前に立っているのだと意識して歩むことが大切なのです。