牧師 高橋勝義 |
神はリベカの胎内にいる双子の兄弟について、はっきりと「兄が弟に仕える(創世記25:23)」と語られ、神の祝福は弟ヤコブに受け継がれると示しておられました。
母リベカはこのことを心にとめていましたが、猟の獲物を好む父イサクは野生的なエサウを愛していました。年を重ね、信仰的な判断が弱ってきたイサクはみこころを無視し、兄エサウに『獲物を捕って来て、私においしい料理を作ってくれ。食べて、死ぬ前に、主の前でおまえを祝福しよう。』と語るのです。これを聞いた母リベカは弟ヤコブに、父の好きな料理を作るので、父のもとに持っていき、祝福をヤコブが受けるようにと伝えます。
しかし、兄のように毛深くないヤコブは、父に見破られ祝福どころか呪いを招く、とその指示を拒みます。すると母は、「子よ、あなたへののろいは私の身にあるように」(創世記27:13)と言い、ヤコブの両腕と首に子やぎの毛皮を巻き付け、兄の衣を着せ、おいしい料理とパンをヤコブの手に渡し、父の所に行くようにと背中を押したのです。
それは神のみこころに反し、神の祝福がエサウに引き継がれることを阻止するためでした。母リベカのとった行動は、夫を欺くもので決して受け入れられるものではありませんでしたが、神はこれらすべてを承知のうえで用いられたのです。
イサクは「声はヤコブの声だが、手はエサウの手だ」と、不信を抱きつつも、ヤコブが持ってきた食事をし、弟ヤコブを祝福します。これによって、神の約束と祝福は、弟ヤコブへと引き継がれました。
「しかし、みこころは一つである。だれがその御思いを翻せるだろうか。神はご自分が欲するところを行われる。(ヨブ23:13)」