牧師コラム 『主があなたの前に御使いを遣わす』 2020年10月4日

牧師 高橋勝義

「イサクを献げよ」という試練の後、アブラハムの兄弟ナホルに子どもが産まれ、その子ベトエルに娘(リベカ)が生まれた知らせが故郷から伝えられ(創世記22:23)、アブラハムはこのことを心にとめていました。

歳を重ね晩年を迎えたアブラハムは、家の最年長のしもべを呼び「あなたは、私の国、私の親族のところに行って、私の息子イサクに妻を迎えなさい(創世記24:4)」と命じます。アブラハムの住むカナンの人々は、まことの神ではない神々を刻み、信仰していたからです。
しもべは主人アブラハムに「もしかしたら、その娘さんが、私についてこの地に来ようとしないかもしれません。その場合、ご子息をあなたの出身地へ連れて戻らなければなりませんか。」と尋ねます。アブラハムは、「天の神、【主】は、私の父の家、私の親族の地から私を連れ出し、私に約束して、『あなたの子孫にこの地を与える』と誓われた。その方が、あなたの前に御使いを遣わされるのだ。あなたは、そこから私の息子に妻を迎えなさい。(創世記24:5~7)」と答えます。

ローマ帝国時代の殉教者ポリュカルプスが「わたしは86年間彼(主)に仕えてきましたが、彼(主)は何一つわたしに悪いことはなされませんでした」と語ったように、アブラハムもここまで自分を導いてこられた神の愛と恵みを覚えながら、信仰に固く立ち、神は約束してくださったことを必ず実現してくださると信じ、しもべに「あなたの前に御使いを遣わされる」と語ったのです。
しもべにとっては、まったく見知らぬ地に出向くわけですから、不安や恐れがあったはずです。しかし、しもべは、あらゆる面で神が主人を祝福しておられるのを見ていました。主人アブラハムの信仰に押し出された彼も、そのお方を信じ、踏み出す勇気が与えられたのです。

「わがたましいよ主をほめたたえよ。主が良くしてくださったことを何一つ忘れるな。(詩篇103:2)」