牧師コラム 『変わることのない神の約束』 2020年8月9日

牧師 高橋勝義

かつてアブラハムは、飢饉から逃れエジプトに行った時、妻サラを「私の妹」と偽りました。それから月日が流れ、ゲラルの地に寄留した時のことです。彼はまたしても妻サラを「これは私の妹です」(創世記20:2)と言ってしまいました。
この時、アブラハム99歳、サラ89歳でした。ゲラルの王アビメレクは、サラを召し入れたのですが、神が夢の中で「見よ。あなたは、自分が召し入れた女のために死ぬことになる。あの女は夫のある身だ。」(創世記20:3)と警告し、事なきを得ます。

アブラハムが「これは私の妹です」と言ったのは、「この地方には、神を恐れることが全くないので、人々が私の妻のゆえに私を殺すと思った」(創世記20:11)からでした。事実サラは異母妹なので、妹であることに間違いはありません。
しかし、今は妻です。
なぜエジプトでの教訓が、生かされなかったのか…。「人を恐れると罠にかかる(箴言29:25)」とあるように、アブラハムはその地の人々を恐れてしまったのです。

神は、「わたしが示す地へ行きなさい」とアブラハムを召した時、「あなたを祝福する」(創世記12:1,2)と約束されました。人の約束は状況の変化で簡単に破られますが、神の約束は永遠に変わることがありません。事実、アブラハムは弱さの故に同じ失敗を繰り返したにもかかわらず、ゲラルの王から守られただけでなく、贈り物まで受け取りました。

これが神の変わらぬ約束、愛なのです。「愛は人を育てる(Ⅰコリント8:1)」と、あるようにアブラハムの信仰は、この神の愛に守られ育てられたのです。