牧師 栗原延元 |
今日は、昨年11月に続いてヤコブを学びます。ヤコブは双子の弟で、兄はエサウでした。本来、兄エサウが継ぐべき家長の相続を、兄エサウをだまして自分のものとしてしまいました。そこから兄弟同士の相克が始まります。ヤコブは兄エサウの殺意を逃れて、母リベカの親戚に身を寄せ、そこで20年すごします。ヤコブにとって最大の課題は兄との仲直りであったのです。ヤコブの物語は創世記32章に入ってクライマックスに達します。
ヤコブは兄エサウに当時としては最も大きな贈り物を送って兄と仲直りしようとするのですが、ヤコブの心の中は、兄への怖れで一杯でした。その不安と苦悩のためにヤボク川の渡し場にひとり残るのです。その夜〈ある人が夜明けまで彼と格闘した〉(創34:22)。
この格闘とは、夜を徹してのヤコブの祈りでした。聖なる神の御前に、神ご自身と格闘する程にヤコブは〈祝福〉を求めて祈ったのです。ヤコブから離れようとするその人に〈私はあなたを去らせません。私を祝福してくだらさらなければ〉とヤコブは祈るのです。この祝福とは、ヤコブの父祖、アブラハム、イサクたちが求めた天の故郷に入ることです。この地上にある故郷ではなくさらにすぐれた故郷です。
その故郷を見上げるヤコブの信仰の目なざしがハッキリとしたのです。彼の日々の歩みの上に陽は昇り続けるのです。