牧師コラム 『偽証うずまく中で~イエスの裁判~』 2016年12月4日

栗原 延元 牧師

前回は、イエスが捕えられた様子を学びました。
今日は、そのイエスが裁判にかけられた場面に入ります。
場所は大祭司の邸宅です。
そこには祭司長、長老、律法学者たちが集まって来たとあります。
すでに彼らは〈イエスを死刑にする〉(マルコ14:55)ことを決め、
イエスを訴える証拠を懸命につかもうとしていました。
イエスに対する偽証をした者は多かったが、一致しなかったのです。
旧約聖書には〈ふたりの証人また三人の証人の証言によって死刑に処さなければならない、
ひとりの証言で死刑にしてはならない〉(申命記17:6)とあるのです。
不利な証言に対して、イエスは黙ったままで何も答えません。

とうとう大祭司みずから、イエスに尋ねます。
〈あなたは、ほむべき方の子、キリストですか〉(マルコ14:61)。
「ほむべき方の子」とは、神の子という意味です。

そこでイエスは言われた。〈わたしは、それです〉と。

ここに至って、イエスみずからが「神の子、キリスト」であることを明らかにします。
神の子イエス・キリストの福音のはじめと題して書き始めたこの書がゴールに到着します。
福音が、いよいよ輝きを増すのです。不思議なことです。