牧師 高橋勝義 |
ヤコブは息子たちの起こした虐殺と略奪事件によって、窮地に立たされました。しかし神は、この根絶やしにされる危機のさなかに、「立って、ベテルに上り、そこに住みなさい。そしてそこに、あなたが兄エサウから逃れたとき、あなたに現れた神のために祭壇を築きなさい。」(創世記35:1)とヤコブに仰せられたのです。神はヤコブが曖昧にしてきた偶像礼拝と不品行の地から「立って」、ベテルに上るように命じられたのです。ヤコブは家族に異教の神々を取り除くように命じ、ベテルに上って行きます。神からの恐怖が周りの町々に下り、彼らの後を追う者は誰一人いませんでした。
「ベテル」は昔、ヤコブが兄から逃れ故郷を出たときに、神が現れてくださった場所です。
彼は家族とともにベテルで、再び祭壇を築いて神を礼拝したのです。また、ヤボクの渡しで神はヤコブに現れ、彼の名を「イスラエル」としましたが、神はその名を呼び、さらに「わたしは全能の神である。~あなたの後の子孫にも、その地を与えよう。」(創世記35:10~12)との約束を加え、ヤコブを祝福してくださったのです。
神はヤコブの不信仰からくる優柔不断を責めるどころか、むしろ、ご自身の約束が全く変らないことを彼にはっきりと示されたのです。このことによって、ヤコブは、全能の神があわれみ深く情け深く、怒るのに遅く恵み豊かなお方(詩篇103:8)であることを知ったのです。私たちの信じる神、そして私たちとともに歩んでくださる神は、まさにこのヤコブが見上げる神なのです。
「私は主に申し上げよう。『私の避け所私の砦私が信頼する私の神』と。」(詩篇91:2)