牧師 高橋勝義 |
アブラムは、甥のロトと別れた後、アモリ人マムレの樫の木の所に住んでいました。その頃、近隣の王たちが争っており、ソドムに住んでいたロトの家族も戦いに巻き込まれ、東方(イラン南西部)の4人の王たちに、財産ごと連れ去られていったのです。
この知らせを聞いたアブラムは、訓練された者318人を引き連れ、ダンまで追跡し、彼らを打ち破り、すべての財産、そしてロトと家族、その財産を取り戻したのです(創14:9)。アブラムを出迎えたソドムの王は「財産はあなたが取ってください」と告げるのですが、アブラムは「糸一本、履き物のひも一本さえ、私はあなたの所有物から何一つ取らない」と【主】の名によって誓ったのです。それは、『アブラムを富ませたのは、この私だ』と言われないようにするためでした。さらに、彼は一緒に戦った者たちへの配慮も決して忘れてはいませんでした。(創14:21~24)
アブラムは、自分を生まれ故郷ウルからカナンへと導かれたお方こそが「まことの支配者」であることをわきまえていたのです。
実際に、飢饉でエジプトに避難した時も、そして今住んでいる場所においても、祝福してくださっているのは「いと高き神、天と地を造られた方、【主】」だからです。
ですから、この【主】の名によって誓ったアブラムの信仰は、後のダビデが「まことに私のいのちの日の限りいつくしみと恵みが私を追って来るでしょう。私はいつまでも【主】の家に住まいます。(詩篇23:6)」と告白した信仰と同じなのです。