牧師コラム 『モーセ物語~その1』 2019年6月30日

牧師 栗原延元

聖書巻頭の書である「創世記」に続いて、「出エジプト」記に入ります。
この書は、イスラエルの民が、エジプトから出て、神の約束の地カナンを目ざす旅を記しています。
イスラエルの民を、エジプトから救出した指導者が「モーセ」です。今日は、出エジプト記3章を学びます。この章には、モーセが神の召命を受ける場面が詳しく記されています。神とモーセの出合いの様子は、実に臨場感にあふれ、読む者をして、数千年の時空を超えて、私たちをその場へと誘います。その中で神は、「我は有りて在る者なり」(文語訳)と宣言します。
人間が存在するためには、多くの条件が揃っていなければなりません。水も食物も空気もなければ存在することはできません。神は無条件に存在するお方なのです。モーセが詠んだ詩があります。その詩の冒頭に〈主よ。あなたは代々にわたって私たちの住まいです。山々が生まれる前から、あなたが地と世界とを生み出す前から、まことにとこしえからとこしえまであなたは神です〉(詩90:1~2)。まことに神は「有りて在る者」なのです。この神を信じていくことが、人生の揺るぎない土台となるのです。